新着記事
性暴力「被害」を認識するまで平均7年半、立ちはだかる時効の壁 5899人へのアンケート調査で明らかに
性暴力を受け、自ら「被害」と認識するまでにかかった年数は、平均7.4年——。
性暴力被害者が自分の身に起きたことを「被害」だと認識するまで長い時間がかかることが、性被害の当事者団体によるアンケート調査で明らかになった。
今の法律では、強制性交等罪の公訴時効は10年、強制わいせつ罪は7年となっている。公訴時効を過ぎると起訴、処罰ができなくなる。
団体は11月20日、被害者がいつでも被害を届け出ることができるように、公訴時効の撤廃または見直しを求める要望書を内閣府に提出した。 要望書で公訴時効の撤廃または見直しを求めた
隣室から聞こえる「歌い手」の大きな声――マンション「騒音トラブル」解決のコツは?
一日が終わろうとしている深夜、自宅でくつろいでいると、隣の部屋からテレビや洗濯機の音が聞こえてくる。集合住宅につきものの「音漏れ」問題だが、その程度であれば、まだ許せるだろう。
しかし、それが「大きな歌声」だったら、どうだろうか。録音・編曲がパソコンで簡単にできるいま、自分の歌を録音し、動画サイトに投稿するひとが増えている。もし、そんな趣味を持つ「歌い手」が隣の部屋に住んでいて、夜な夜な大声で歌っていたら・・・。
文句を言いたいが、相手は素性も知らない赤の他人。下手な刺激は避けたいところだ。こうした集合住宅の騒音トラブルは、どのように解決すればいいのだろうか。できるだけ穏便に済ませるためのコツはあるのだろうか。不動産関連の法律問題にくわしい瀬戸仲男弁護士に聞いた。
兄弟で「薬物依存症」に、俳優が実体験を映画化 家族の葛藤を描く「まっ白の闇」
薬物依存症の若者とその家族を描いた映画「まっ白の闇」(監督・内谷正文)が11月3日から公開される(新宿Kʼs cinemaなど)。 映画には、薬物依存症の回復支援団体「ダルク」のメンバーも出演する。
俳優の内谷正文さんが監督・脚本を担当した。映画には、薬物依存症の当事者であり、家族でもあった内谷さん自身が経験した苦しみがリアルに描かれている。内谷さんに話を聞いた。
保育園の送迎で迷惑駐車する保護者、警告もスルーで住民激怒 どう対応するのがスマート?
保育園に通う子どもの送迎車が自宅前で迷惑駐車をしているが、役所に連絡しても改善してくれない──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者の近所にある保育園では車での送迎がルール上禁止されているものの、実際には横行しているようで、相談者宅の前に無断で何度も駐車されたようです。
クレームを複数回入れたものの止まないため、自治体の役所にも相談。役所側はルールの周知をすると伝えてきましたが、結局迷惑駐車は止まず、再度の相談にも「警察に相談して」と言われただけでした。
何らかの際に証拠として使えるよう、迷惑駐車の記録をとり続けているようです。警察に相談する以外に、自分で迷惑駐車を解消する手立てはないのでしょうか。今泉圭介弁護士に聞きました。
「〇〇高校生立入禁止」ミニストップ店舗の張り紙が話題 学校「何も答えられない」
「あるコンビニの張り紙」とされる画像がXに投稿され、タイムラインをざわつかせるという出来事があった。
投稿された張り紙には、特定の学校名とともに「〇〇高校生立入禁止(学校承認済み)」と書かれていた。
コンビニ大手各社では客からの迷惑行為から従業員を守るため、カスタマーハラスメントへの対策指針を公表し、毅然とした対応をすることを明らかにしている。
9月中に投稿は削除されたが、画像は現在も複数のSNSで拡散している。学校やミニストップを取材した。
「号泣」野々村元県議を県議会が刑事告発 「逮捕」される可能性はあるのか?
政務活動費の不適切な支出をめぐり、議員辞職した野々村竜太郎・元兵庫県議。初当選以降の政務活動費約1834万円全額を返還すると表明しているが、疑惑に対する明確な説明はまだない。議員辞職で幕引きのようにも見えるが、今後「刑事事件」に発展する可能性も出ている。
報道によると、兵庫県議会は7月11日、「虚偽公文書作成・同行使容疑」で、野々村氏を兵庫県警に刑事告発し、受理された。告発状では、昨年11月に西宮市内の高校で開かれた行事に出席したとして、野々村氏が電車代360円を計上したことを「虚偽事実」としたとみられる。県議会の調査では、野々村氏が行事に出席していなかったことが判明しているという。
また、兵庫県警が「詐欺容疑」での立件も視野に捜査に着手したと、報じられている。今後、野々村氏が逮捕・起訴される可能性はあるのだろうか。冨宅恵弁護士に聞いた。
日本が売りにする「おもてなし文化」、なぜ外国人観光客に響かないのか
外国人観光客が再び増加しつつあり、日本の「おもてなし文化」に注目が集まっている。特に、日本経済の停滞感が叫ばれる中、インバウンドによる活性化のカギとして期待されている面もある。
ところが、編集部で「おもてなし」についての企画を考えて、国内の旅館・ホテルを取材してみると、「日本的なおもてなしはそこまで外国人に受けるわけではない」と何度も聞いた。
なぜ、日本的な「おもてなし」が外国人に響かないのか。「おもてなし」を活かすためにはどうすればいいのか。旅館やホテルの「おもてなし」のマネジメントを研究する森下俊一郎・九州産業大学准教授に聞きながら考えた。(編集部・新志有裕)
<企画本編>.
コンビニ「24時間」の灯を守る留学生、人手不足で過酷労働…法定時間オーバーの可能性も
年末年始も含め、365日、24時間営業を続けるコンビニ。日本フランチャイズチェーン協会によると、店舗数は2017年11月現在で5万5374軒、5年前と比べても約8500軒増えた(18%増)。だが、少子化などの影響もあって、思うようにスタッフを確保できていないようだ。
「都市部では、ケーキやおでんを自腹で買い取る『自爆営業』や試験前も休めない『ブラックバイト』のイメージから、日本人学生のなり手が少なくなっているようです」と語るのは、コンビニ問題にくわしいジャーナリストの古川琢也氏。
穴を埋めているのが、留学生を中心とする外国人スタッフだ。大手3社によると、全スタッフの5%ほどで、4〜5万人ほどいるとされる。特に都内では大きな戦力になっており、深夜帯は外国人の方が多いという店舗も珍しくない。50代のあるコンビニオーナーは「留学生なしの営業は考えられない」と言い切る。
しかし、留学生が働けるのは入管法で原則、週28時間までと決められている。違反すれば、本人が退去強制処分になったり、事業者に罰則が課せられたりする可能性もあるが、人手不足ゆえに、規制を超えるオーバーワーク(不法就労)の受け皿の1つになっている面もあるようだ。
一橋大アウティング裁判で経過報告…遺族「誰か一人でも寄り添ってくれていたら」
「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ」ーー。思いを打ち明けた同級生男子に、同性愛者であることを暴露(アウティング)された男子学生が、大学構内で転落死した「一橋大学アウティング事件」(2015年)。遺族の代理人らが4月19日、裁判の経過を報告する記者会見を開き、社会には同性愛者への偏見が溢れているとして、「アウティングは違法な加害行為だ」と改めて強調した。
この事件では、遺族側が大学と暴露した同級生を相手取って、損害賠償などを求めている。昨年8月から計6回の口頭弁論があり、遺族側によると、双方の意見がほぼ出揃ってきたという。年内には証人尋問が始まる見通しだ。
この日、遺族は弁護団を通し、「アウティングされて辛い息子の心に友達の誰か一人でも、学校側の誰か一人でも寄り添ってくれていたら死なずに済んだのではと思ってしまいます」などとするコメントを寄せた。
原作と似ても似つかない実写映画化 原作ファン「心の傷」の代償は?
「こんなの原作と全く違う!」。好きな漫画や小説の実写映画などを見て、そう叫びたくなった人もなかにはいるかもしれない。あるアニメファンによると、「制作陣が原作に敬意を払っていることが伝わる作品もあれば、そうではないのではと疑わざるをえない作品もある」という。
ヒット作となった漫画などが実写化されるケースは珍しくはない。今年3月には、漫画やアニメで人気を博した『機動警察パトレイバー』の実写化が発表されて話題になった。ファンたちは胸を躍らせながら公開日を待つことになるが、いつも彼らの期待通りになるとは限らないだろう。そんな作品に対して、厳しいファンたちは「原作レイプ」と揶揄することもある。
たしかに、作品を長年愛してきたファンたちにとって、期待を裏切るような派生作品は精神的な苦痛を受けるかもしれない。では、期待外れなものを作った制作陣に対して、ファンたちは慰謝料を請求することはできないのだろうか。また、せめて目に触れないように「公開差し止め」を求めることはどうだろうか。南部朋子弁護士に聞いた。
●ファンの慰謝料請求は認められない
「原作のファンにとっては残念ですが、原作の派生作品がファンの期待していたものではなかったとしても、その点を理由に派生作品の制作陣に対する慰謝料の請求が認められることはないでしょう。
また、ファンが派生作品の公開を差し止めることも認められていません。原作の著作権者が認めた派生作品であれば、著作権法上は問題がないということになります」
南部弁護士はこのように結論を先に述べた。そのうえで、マンガのキャラクターの立体模型(フィギュア)化について、裁判所が触れた部分を引き合いに出した。
「裁判所は『原作者がキャラクターに対して有するイメージの全体像がすべて紙面に表現されるとは限らず、表現されない部分は読者が自由に想像することに委ねられている』としています。
そして、『原作者の具体的な指定がない以上、模型等の制作者が原画のイメージや読者の人気等をも考慮して独自の解釈の下にキャラクターのサイズやバランス等を新たに創造することとなる』と指摘しています」
このように、立体模型という似たケースでは、原作で表現されていない部分について「独自解釈の自由」を尊重した考え方になるようだ。では、それを実写映画のような派生作品に当てはめるどうなるのか。南部弁護士は次のように解説する。
「原作のファンの期待を裏切るような派生作品も、原作で表現されない部分を主な対象とした制作陣の創造行為の結果といえますが、それによって、原作で表現されない部分を読者が自由に想像することができなくなるわけではありません」
「自分なりの原作のイメージを大切にし、原作を楽しむことはできるのです」と南部弁護士は付け加えた。たとえ、原作のファンの裏切るような派生作品が作られたとしても、慰謝料や差止め請求権が認められるわけではないということだが、むやみやたらと怒るのではなく、「一つの解釈」として派生作品を楽しむのもよいのではないだろうか。