この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
A社代表者のBさん(男性)は、従業員のCさん(女性)と2人きりで作業中、突然眩暈がして倒れそうになりました。その際、思わずBさんは倒れないようにCさんに抱きついてしまいました。後日、Cさんは退職を申し出るとともに、Bさんに対して抱きついたことがセクハラに当たるとして慰謝料の支払を求めてきました。Bさんが性的な感情に基づくものでないことを説明してもCさんは納得をしません。いままでこの種のトラブルにあったことがないBさんはどうしていいか分からないでいました。
解決への流れ
突然の眩暈による転倒の危険を回避するためであれば、抱きついてしまったとしてもセクハラにはあたりません。そのため、本来であれば慰謝料を支払う必要はありません。本来であれば、セクハラにはあたらないことを主張して、慰謝料の支払については拒むのが正しい対応といえます。しかしながら、そのような対応をした場合、訴訟提起などがされて紛争が長期化し、Bさんも事業に集中できないため、事業に悪影響をもたらしかねません。この件では、Cさんが求めている慰謝料の金額も大きな金額ではありませんでした。そのため、BさんはCさんにセクハラではないことを主張しつつも、Cさんの請求金額を解決金として支払い、今後さらなる請求をしないことを合意して解決を図りました。
セクハラをしていないのであれば法的な賠償義務はないので慰謝料を支払う必要はありません。今回のようにやむを得ない理由があるのであればしっかりとそのことを主張するのが本来あるべき対応です。しかしながら、そうはいっても紛争を抱え続けるストレスや紛争に対応しなければいけない手間等を考えればどこかで着地点を見出さざるを得ない場合もあります。今回の件はまさにそのようなケースでした。